はじめに
来年、ポケモンカード(ポケカ)はついに30周年を迎えます。
この節目を前に、ポケカ市場では大きな動きが見られています。
ポケモンカードの相場動向を把握するうえでよく用いられる「ポケカ指数」は、年初来から70%以上も上昇しており、SNS上では「バブル」や「暴落」を指摘する声も増えています。
今回は、このポケカ指数の仕組みと上昇の背景を踏まえ、今後の市場動向について考察していきます。
ポケカ指数とは?
ポケカ指数とは、サイト「みんなのポケカ相場」で公開されている、ポケカ市場全体の相場動向を可視化した指標のことです。
この指数には、レギュレーションA~Gまでの代表的なカードを組み合わせた「美品指数」と、PSA10(最高鑑定評価)カードを組み合わせた「PSA10指数」の2種類があります。
通常、S&P500やダウ・ジョーンズ工業平均株価といった世界を代表する経済指数は「時価総額加重平均」や「株価加重平均」で算出されますが、ポケカ指数では独自の算出方法が用いられており、具体的な計算式は公表されておりません。そのため、独自の算出方法によって決められた組み入れ比率の大きいカードの価格が大きく動けば、それがポケカ指数全体に大きな影響を及ぼすと言えます。
ポケカ指数が高騰している理由
最近のポケカ指数上昇を支えているのは、ミュウやピカチュウといった人気の高い一部カードの価格上昇です。
実際、現時点でPSA10指数のうち10%以上もの割合を占めるピカチュウ[208/S-P]の市場規模(PSA10の枚数×PSA10価格)は約8億9,000万円ほどしかありません。
一方で、同じく高額カードとして知られるリーリエ[SM1M 066/060]のPSA10市場規模は約10億円ありますが、PSA10指数への寄与度はわずか0.043%しかありません。
さらに、前回のポケカバブルの象徴とも言われた“がんばリーリエ”[SM4+ 119/114]の市場規模は約24億円と圧倒的な規模を誇るものの、PSA10指数への組入比率はわずか0.03%程度にとどまっています。
また、年初来の上昇率も40%未満に抑えられており、指数全体が年初来から70%以上も上昇していることを考えると大きく出遅れていると言わざるを得ません。
このことから分かるのは、現在のポケカ指数の上昇は市場全体の上昇を反映しているわけではないという点です。
指数の上昇をけん引しているのは、あくまで独自の算出方法によって決められた指数への組み入れ比率が大きい一部の銘柄に限られています。
まとめ
ポケカ指数が急騰している背景には、ピカチュウなど人気キャラクターカードの高騰が大きく影響しています。
ただし、実際のところは市場全体が上昇しているわけではなく、一部の組み入れ比率の大きいカードの価格上昇が指数全体を押し上げている状況です。
そのため、仮に今後ポケカ指数が下落したとしても、それは過熱感のある一部のカードの値下がりに指数が押し下げられているだけの可能性が高いでしょう。
逆に、がんばリーリエのように市場規模が大きく、根強い人気を持つカードの価格が堅調に推移している限り、ポケカ市場には一定の投資妙味(リターンの期待値)が残されていると言えます。

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